大般若祈祷会

11日の日曜日、不肖の自坊にて、大般若経を転読する祈祷会を行なった。
ひどい北風が吹き荒れ、吹雪になったかと思えば、陽が照ってポカポカと暖かくなったりで、一日の中で三寒四温を思うような日となった。

大般若祈祷会

この大般若祈祷会は、本来、お正月の三ケ日に、今年一年、魔障を除き、世界の平和、五穀豊穣、家内安全などを祈願して勤めるものである。


導師は堂内中央で「大般若波羅蜜多経 第五七八巻」の「第十理趣分」を読み上げる。
その間、参列した僧侶は、50巻ずつ12箱に分けられた般若箱に納められた経典のうち、自分の持ち分50冊の経典を一冊ずつ手に取り上げ、「大般若波羅蜜多経巻第○○ 大唐三蔵法師玄奘奉詔訳」と大きな声で読み上げる。そして、経本を扇のようにパラパラと呪文を唱えながら繰って転読し、最後にまた大きな声で、「降伏一切大魔最勝成就(ごうぶくいっさいだいまさいしょうじょうじゅ)」と唱える。
しかし、修行道場などでもない限り、正月三ケ日に多くの僧侶が集まることなどできないので、一般的なお寺では、およそ旧正月の頃に順次行き来して行なわれてきたのではないだろうか。ただ、わが自坊のあたりでは、2月は雪深くて足元が悪かったため、3月に行なうのを恒例としてきた。今や地球温暖化の影響でほとんど雪が積もらなくなったので、2月に行なうことを再考してもいいくらいではある。
さて、今から62年前の昭和20年(1945)年の太平洋戦争終戦の日は、ちょうど今年とカレンダーが同じだそうである。
つまり、3月10日土曜日は昭和20年にも土曜日であった。その東京の空にB29が押し寄せ、無差別に空爆し東京を焼け野原にしたのだ。いわゆる東京大空襲の日である。
今年もこうして大般若祈祷会をお勤めしたのだが、残念なことに世界から戦争がなくなる日はまだ遠そうだ。