『秘花』

140204-1.jpg瀬戸内寂聴さんの『秘花』を読みました。
題名からもおわかりのように、世阿弥の生涯を描いた作品です。

昨年は忙しすぎて、好きだったお能の世界から遠ざかっていましたが、この本がまた呼び水となり、ふつふつとあの幽玄の世界へ入ってゆきたい衝動に駆られています。
舞台を観に行くのはもちろんの事、福森先生のお言葉「どこへでも、自分で足を運んで訪れてみると良いよ」に従い、まずは世阿弥の長男、元雅が尉面を奉納した、天河大弁財天社に詣でようと思っています。おそらく面は美術館などに寄託されていらっしゃるでしょうが、拝見できずとも、室町の空気を肌に感じ、元雅が面を奉納する前に舞った姿を思い描きたいと思います。

また、能における禅の教えの影響も気になるところです。世阿弥も、東福寺の僧・岐陽方秀との交流があった事が知られています。我が国の伝統芸能や文化、道などに興味を持てば持つほどに、禅とは切っても切り離せない関係性がある事を知り、知れば知るほどにまた楽しくなってくるものです。

昨日は実家の本棚を漁り、いま一度読みたい本を物色。懐かしい能面の写真集を眺めていますと、お隣韓国や、以前訪れたブータンの面、正倉院に奉納されている、シルクロードを渡ってやってきた伎楽面などが次々浮かんでは消えて、この極東の文化がどう成熟していったのか、お隣やまたそのお隣の国のことにも思いを馳せる時間となりました。
世界は、遥か昔から繋がっている。お能から、そんな世界観をも養えます。

禅に関心がおありの方は、その周辺から禅というものを知ってみるのも良いのかな?!という老婆心切でした。