全生庵住職の本『坐禅のすすめ』

 

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今年の新年早々に幻冬舎から出版された新刊のご紹介です。
弊所には古くから出している同名の書籍『坐禅のすすめ』(山田無文・平田精耕 他著)がありますが、まったく違うタイプの本です。
著者の平井正修(ひらい・しょうしゅう)師は、東京は谷中の全生庵現住職。
彼は私も修行した三島の龍澤僧堂の後輩にあたります。同じ時期に道場にいたわけではありませんが、私と違って彼は長く道場に在錫していたので、親しくしてもらっています。
実はこの本、よく売れているらしいのです。それで彼に本書を無心し、さっそく電車の通勤時に読ませてもらいました。

自らの経験・体験を組み入れて(大切なことだと思います)、仏教や禅の言葉をひもときながら、現代人の生活にピタッとくるように書かれています。

ただ実は、私にとっては、何も目新しく感じたことはありませんでした。だって考えてみたら当たり前のことなんです。私たちは同じ道場の釜の飯を食んで修行させてもらっていたのですから。

道場の指導方針というものには、一つの筋が通っているものなんですね。
私は彼のように長く僧堂にいられませんでしたが、知らない間に、老師や先輩の雲水から同じことをたたき込まれていたのだなと、改めて感じさせられました。
この本に書かれていることと同じようなことを、時々私も檀家さんにお話させてもらっています。

臨済宗にはたくさんの修行道場があり、それぞれの道場に家風というものがあります。仕事柄、あちこちの道場の出身者と知り合う機会がありますが、同じ臨済宗の僧侶で有りながら、なにか違うものを感じることが時々あります。

ただ、龍澤僧堂を出た人たちとは、老若を問わず、なんだか同じ風を感じるのです。不思議なものです。
このことを改めて感じさせられた一冊の本でした。