韓国 -仏国寺-

仏国寺

先日紹介した石窟庵と同じく、景徳王代の宰相金大城によりに建立されたという仏国寺を参拝する。
仏国寺の見どころは、何といっても見事な石造物であろう。伽藍全体が美しい石垣で築かれたテラス状の土地に建ち、その前面には、これもまた見事な石橋がかかる。差し交わす松の枝も美しい。仏国という名に相応しい風景である。

多宝塔釈迦塔

回廊内の大雄殿前には多宝塔(左)と釈迦塔(右)が立つ。特に多宝塔の個性的な造形美は韓国の至宝というべきで、10ウオン貨幣にも、その優美な姿が描かれている。
毘盧殿には、新羅時代の金銅毘盧遮那仏が安置されている。最近になって金や丹青で塗り直され、造像当初の美しい姿がよみがえった。ただ、古色を好む日本人ならば、このような修復はまずしないであろう。
ところで、最近次のようなニュースが飛び込んできた。
web版朝鮮日報(日本語)
【スクープ】韓国木版印刷物は世界最古じゃなかった!? 
「世界最古」の無垢陀羅尼、日本の百万塔陀羅尼経より新しい可能性
従来、1966年に仏国寺の釈迦塔内から発見された「無垢浄光大陀羅尼経」が、現存する世界最古の木版印刷物とされていた。ところが、これが11世紀(高麗時代)の修理時に追納されたものだとすると、最古の印刷物という栄誉は返上しなければならない。かつてのように、日本の百万塔陀羅尼経(奈良時代)が、その座に返り咲くことになる。
誇り高い韓民族にとって、このニュースはまさに「パンドラの箱」であるにちがいない。

雨にも耐えるこの見事な柱のペインティングは、この顔料を作り出すのにも特殊な技術を必要とし、その職人は年々減っているらしい