炭点前

140221-1.jpg茶の湯の稽古にて、炭点前をさせていただき、師匠のお許しを得て写真撮影。
美しく炭を配置するのはもちろんのことですが、炭がきちんといこって、釜の湯を沸かす事ができなければ本末転倒です。
どちらもできて、“ご名炭(ごめいたん)”というわけです。

色々な形の炭がありますが、どの順番でいこってゆくのかまで考えられています(点前が終わった後の写真は下)。色が違う灰は、濡れ灰といって、湿った灰を最後に撒く事によって対流を起こさせ、炭に火がつきやすくしてくれるわけです。非常に合理的化学的であります(堀内宗完宗匠の『茶の湯の科学入門』に詳しいです)。もちろん、その景色をも楽しみます。

先人が考えてくれた点前には、どれだけ長くお稽古を続けていても感心する事しきりです。
茶の湯に限らず、型というものを習得しないうちに、自分本位な試みをしてみるというのは、良い面もあるのでしょうが、私は危険だなと思っています。

万人に惜しまれて旅だった歌舞伎役者、中村勘三郎さんが好んだ、「型を会得した人間がそれを破ることを『型破り』というのであって、型のない人間がそれをやろうとするのは、ただの『かたなし』です」のことばをいつも思い出します。
今はひたすら師匠のことばを聴き、型の習得に励んでいます。その中でも、得がたい気づきを十二分に得られる、それが道のお稽古です。

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◆弊所刊行の茶の湯関連本
『歩々清風-科学する茶禅の人-』 堀内宗心
『茶の湯のこころ』 古田紹欽
『茶の湯とはなにか』 古田紹欽