学生時代に旅行したネパール。訪れたチベット寺院で見た僧侶達の衣の色や、亡命してきたチベット人の営む商店の記憶は、今も鮮やかに脳裏に焼きついています。
店番をする女の子とは、同じ仏教徒という事や、私自身ダライラマ法王を尊敬しているという話から仲良くなり、チベットやチベット人は、いつからか心揺さぶられる存在となっていました。
この展観も見逃せるはずもなく、嬉々としてでかけてみました。
他宗派の事となるとお恥ずかしながら無知なもので、大谷探検隊の存在は知っていましたが、その中に、明治の初期という時代に、チベットにて学んだ2人の若き学僧がいらした事は知りませんでした。
ダライ・ラマ13世の治世下、その許可を得て、主に市井に暮らし、チベットの風俗や文化、原語などを習得する事に努めた青木文教師、チベットの寺院にて、10年もの長きに亘りチベット仏教の修行を積んだ、多田等観師です。
彼らの足跡、成果などをふまえながら、仏像やタンカなど、チベット仏教縁の品々が並ぶ展覧会。それはすばらしいものでした。
特に、多田師がダライラマ13世より贈られた「釈尊絵伝」には、日本では重要とされていない為か釈尊の伝記を読んでも書かれていない場面などが描かれており、とても興味深く、間近に美しい細密画を堪能させていただきました。
また、同じ会場にて、ベゼクリク石窟の大回廊復元展示もされており、トルファンが栄え、仏教美術の華開いた当時さながらの回廊を歩き、この素晴らしい事業に感銘を受けました。
シアターでは、この復元事業についてのVTRも拝見し、じっくり3時間ほどこのミュージアムを堪能しました。オススメの展覧会です。
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