武家のみやこ 鎌倉の仏像-迫真とエキゾチシズム-と題しまして、鎌倉の仏様が奈良国立博物館に集まっていらっしゃいます。
質実剛健、鎌倉のもののふの気配、そういったものを仏像の特徴からもまた感じ取る事ができます。
平家の軍勢により焼き討ちにあった東大寺を復興する為大勧進を行なった重源に、並ならぬ力添えをしたのが、時の将軍源頼朝でした。そのような縁もあって、重源が重用した康慶・運慶・快慶ら慶派の仏師らは鎌倉でも活躍するようになったとの事。
この展覧会、仏像はいうまでもなくそれはそれは数々の美形の仏様がお集まりですが、私の興味をひきましたのは、頼朝への感謝の証でしょうか、大仏殿供養に参列した折に手向山八幡宮から頼朝に送られたという舞楽面なのでした。猿楽発祥の地、能の原型ともいえるようないくつかの面は、シルクロードを経てやってきた大陸の文化までをもこちらに思い起こさせ、しばし時空を旅するごとき心地でした。
また、浄光明寺の観音菩薩坐像などは、もしも「絶対的な美」というものがあるのだとしたら、まさにこのお像なのではないかしらんと思えるほどに、ぐるりと一周してどこを拝見してもあまりに美しいもので、ともすれば心惹かれすぎてあやうくなりそうな心地がしたくらいです。首のかたぶき加減まで、完璧な角度ではないかと思えてしまうのでした。
この日は時間が無かったのですが、せっかくの奈良ですから、大好きな大木と、野生の藤、神の使いに会ってから、帰路を急ぎました。
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