花園大学歴史博物館にて開催中の特別展「不立文字」(6月7日まで)。後期の展観に合わせて、4月の記念講演会に続き、第2回目の記念講演とギャラリートークが実施されました。
ご登壇いただいたのは、尾西正成先生(京都橘女子大学助教・日展会友)。演題は「墨蹟への憧れ~書作家の立場からの私的鑑賞~」です。研鑽を積まれた尾西先生ですが、今回は誰もが楽しめるよう、ユーモアを交えて書の私的な鑑賞法をご紹介くださいました。
たとえば、名僧らの墨蹟に混じってスクリーンに映し出された先生のお弟子さんの書。
この小学生は、自筆の書にたいそうご満悦で、「先生どう?これ、いいやろ!!」と作品を見せに来たのだとか。「どう?」と評価を乞われたのですから、未熟な部分を添削することはできます。でも、先生はそれをされなかったそうです。
なぜなら、墨蹟を鑑賞する際、知識が作品の理解・評価につながるのはもちろんですが、この小学生のように、直感的に「いいなあ!」と思うのも、また自由なのですね。
私自身、“自由な感想を持つ”ということに実はずっと戸惑いがあったのですが、気持ちが軽くなりました!
愚堂東寔筆 墨蹟「鉄心肝」/禅文化研究所蔵
そんなわけで「不立文字」展。担当者による作品解説を手引きに、または自由な感覚で。思い思いにお楽しみいただければと思います。