“山茶碗”が展覧会の名称に挙がる事があるでしょうか。なかなかに無い事です。これは是非にと多治見まで足を運んでみました。
そもそも山茶碗とはいったいなんでしょう。美濃焼ミュージアムのHPでの解説には、「平安末期から鎌倉、室町時代を通じて東海地方のほとんどの窯業地で生産された無釉の碗で、地域によって土や形に差があります」との事。庶民の普段使いの器であったようです。
時代を経て味わいを増し、無心で作られたこの雑器を、茶人や骨董好きが放っておくわけもありません。確かに、無釉である事がより一層侘びた感じを抱かせ、時に灰などが熱により自然釉となってとろりと垂れている姿など、何かに見立てず見過ごす事があろうはずもなく。そんな趣きを見て、歌でも一句読めそうな人々こそ、日本人なのでありましょう。
抹茶茶碗としてはもちろんのこと、懐石の向付、はたまた日々の器としてお漬け物入れにしてもよさげな、様々な窯元から発掘された山茶碗が所狭しと並んでいました。
また、こちらのミュージアムでいつも楽しみにしているのは、「実際に触れてみよう!」のコーナー。今回も窯跡から発見された山茶碗が置いてあり、実際に触れて感じる事ができました(前回訪れた時には、発掘された織部や志野の陶片を触る事ができましたよ!)。