京都の奥座敷、美山はかやぶきの里にあります、“ちいさな藍美術館”を訪れました。
藍特有のにおいが立ちこめる染めの工場から、世界の藍の布まで、ちいさくともその内容は濃く深く、まさに藍の色のよう。
藍というと、日本古来よりある染めもの・・・と、なんとなく思っていましたが、その起源はなんと、さかのぼると古代都市テーベの遺蹟より発掘された紀元前2千年頃のミイラが、既に藍で染めた麻布を巻いていたのだとか。
エジプトで栽培されていた藍は、オーストラリアを除く全世界で栽培され、染めの原料として使われていたそうです。
世界各地で染められて織られたものや、刺繍をほどこしたもの、土地によって文様も様々。この深いブルーは、世界中の人々を虜にしたのですね。
私の中で最も印象的な藍染めの色といえば、研究所に入って間もない頃におみかけした、長年修行をされてこられた雲水さんのつぎはぎだらけの、色も浅黄色ほどに薄くなった麻衣です。
色も落ち、ぼろぼろになったはずが、着る人の醸し出すものからでしょうか、ぼぉっと光っておられたのを今でも鮮明に覚えています。