昨年より宝物悉皆調査に入り、この10月6日から12月13日まで、花園大学歴史博物館で開催する「滅却心頭火自涼 -甲斐の名刹 恵林寺の至宝-」(主催:禅文化研究所・花園大学歴史博物館)の展示品所蔵元である、山梨県甲州市にある乾徳山恵林寺で、去る、9月30日に新命住職である古川周賢老師の晋山式が挙行されました。
弊所はこの調査の関係で老師とも親しくさせていただいていたことで、担当者である私も晋山式の末席に参列させて頂きました。
さすが天下の名刹だけあり、老師の嗣法の師である大徳寺派管長貎下、近隣の向嶽寺派管長貎下、円覚寺派管長貎下、そして、縁のある僧堂師家方、また、近隣寺院はもとより、遠方からも多くの尊宿が出頭参列されました。
三十数年住職をされて、このたび閑栖になられる南條大亨老師の退山式が方丈で粛々と行なわれる中、境内では周賢老師が稚児行列と共に山門に到達されての山門の偈が唱えられていたようです。(私は退山式に出ていたので、参列されていた在家の方から式中の写真を提供してもらいました)
方丈にあがられて晋山の偈を唱えられたのちは、告報通りに晋山式の式次第が進んでいきます。いつも弁舌鮮やかな周賢老師ですが、少々緊張気味のご様子。
一般在家の方々には、人生で何度も遭遇することのないであろう晋山式です。カメラやビデオ、スマートフォンなどで、式の様子を撮影されているのが目立ちました。
さて、僧堂ではないこの寺を選ばれた周賢老師は私との個人的なお話の中で、自分は住職となってからは、発心し禅僧になりたいという人をできるだけ育てていきたいと話しておられました。来春からその第一号のお弟子さんが僧堂に掛搭するとのこと。
私は、この老師の多岐にわたる下化衆生を楽しみにしている一人です。今後、季刊『禅文化』でもご寄稿をお願いしていく予定です。皆さんもお楽しみに。