宝物調査、デジタルアーカイブス事業の打ち合わせで、山口市にある常栄寺(臨済宗東福寺派)にお伺いしました。
新幹線の京都から2時間余り、新山口で降りて、県庁所在地のある駅へ向かうにしては、情緒のありすぎる2両編成のディーゼル列車に揺られ山口駅へ。新幹線など、すべてICカードでタッチして改札を通過してきたのに、結果、山口駅では自動改札はなく、現金で240円をお支払い。ゆったりと時間が流れている気さえしました。
常栄寺は、毛利元就が開基である名刹。立派な伽藍もあり、僧堂もそなえる專門道場ですが、残念なことに今は休単中で雲水はおられません。しかし雪舟の庭として知られる庭園(国の史跡名勝)が方丈裏にあり、拝観者が後をたたず訪れています。
もともとは広島県の安芸にあったのですが、大内盛見の菩提寺である国清寺など複数のお寺と合寺された経緯も有り、以下に記す洞春寺に移され、のちに元就の息子である隆元の夫人の菩提寺である妙寿寺があった現在の地に移されたという遍歴をもつとのこと。
数年前にこの常栄寺に晋山された今井宏泉老師とお話をし、宝物の悉皆調査の依頼を受けました。弊所のデジタルアーカイブス事業にもご協力を頂けるということで、いずれ、デジタルアーカイブス「禅の至宝」に登録させていただくことになりそうです。
その後、タクシーで数分の洞春寺へ。
ここのご住職も先だって晋山式を終えられたばかりの新命和尚ですが、以前より面識があり親しくさせていただいることもあり、また常栄寺と関係のある古いお寺でもありますので、宝物管理に関するお話をさせていただこうかと思い参りました。そういえば以前訪ねた時のことをこのブログで書いておりました。
さて、知る人ぞ知るですが、この洞春寺には、「マル住職」と名付けられた紀州犬がおります。そして、この張り紙!
私が玄関に近づいていくと、吠えられはしませんでしたが。そろりと近づいてきて、ブルブルッと身体を震わせて「なにもんじゃい」と言わんばかり。ただ、幸いなことに坊主頭には噛みつくことはないそうです。
それに、昼間は危険性がないと判断し吠えなくても、朝夕、陽が低いときには吠えるとか。なかなかの番犬です。
そしてもう一つ、洞春寺には珍しい物が。玄関の真上にステンドグラスがあるのです。
常栄寺は通常拝観(拝観料必要)されております。また洞春寺には重要文化財の山門と観音堂もあり、自由に拝観できます。どうぞお近くにお越しの際には、お立ち寄りいただきますよう。ただし有髪の方は「マル住職」にご注意あれ。