聞き分けの…

150113-1.jpg絵はがきセット 「禅のことをもっと…」より 撮影・水野克比古氏

先日とある曹洞宗寺院を参拝した時のこと。ボランティアガイドの方がちょうど魚板(魚の形をした木版〈モクハン〉)の前にいた我々に、

「禅宗の修行生活は全てこの鳴らし物の音で進行するんですよ。だからちゃんと聴いて行動しないといけないんです。聞き分けの良い子悪い子と言いますよね?あの言葉はここから来ているんです」。

と教えてくださいました。
語源の真偽のほどはともかくとして、なるほど面白い事を仰るなぁと思いました。

実際、禅宗の修行道場や寺では、様々な鳴らし物の音によって時を報らせ、また日常の号令として使われます。
そのうちのいくつかご紹介します。専門用語については、このページもまたご参照ください。

 

150113-2.jpg天龍寺にて 職員撮影

◆板・木版(はん・もくはん):禅堂の前門に下げられ、日に数度、時を知らせるために打たれる。

◆振鈴(しんれい):禅の老師が参禅室内で用いる。また、起床の時刻を知らせるなどに用いる鈴。

◆引磬(いんきん):坐禅の進行を務める直日(じきじつ)が柝(たく:下記参照)とともに禅堂内で使用し、参禅者を指示するのに用いる。

◆喚鐘(かんしょう):老師からの独参や総参に呼ぶときに鳴らす鐘。通常は朝晩の二度鳴らされる。禅堂内から駆けつけた参禅者は順番を待ち、自分の番になると喚鐘を二つたたいてから老師の部屋に向かう。

◆雲板(うんばん):雲の形に鋳付けた青銅板で、庫裡にあって、僧に粥飯を報ずる鳴らしもの。薬石(夕食)には、雲版の代わりに柝木をもって報らせる。

◆法鼓(ほっく):大きな太鼓。法要、提唱などの出頭の合図として用いられる。

◆析(たく):拍子木のこと。大小二種あって小柝木は禅堂内あるいは飯台座で用いられ、大柝木は庫裏などで用いられる。例えば、薬石の用意ができた時、開浴の時、守夜の時など。