サンガセミナー 2014年第4回 涅槃図お絵解き講座

昨日のご報告(寺院の活動と寺院規則と法律)にひきつづき、今年度最後となりますサンガセミナー、午後からの「涅槃図お絵解き講座」のご報告。

150201-1.jpg絵解きとは……まさにことばの通りですが、起源はふるく平安時代にまで遡り、当時は貴族などが自身の屋敷にて楽しんだそうな。
庶民へも拡がりを見せたのが鎌倉時代。絵を背負い、諸国を行脚して歩く、まさに仏教布教においては無くてはならない存在、布教最前線をゆく者たちが現れます(絵解きを生業、専門職とする人の出現)。
連綿と受け継がれてきたそんな絵解きも、時代の流れと共に、特にテレビの普及や廃仏毀釈などのあおりを受け、廃れていったのだとか。

150201-2.jpgそんな風前の灯となった絵解きを再興したいという願いを持ちつつ、布教活動をなさっているのが、日本三大長谷寺の一つ、長野の長谷寺の寺庭婦人でもいらっしゃる、岡澤恭子さんです。
今回は、会場となった法輪寺(通称だるま寺)さんの本堂にて、立派な涅槃図を掛けていただきました。

150201-3.jpg私めも初めての体験で楽しみにしておりましたが、まさに岡澤さんが絵解きを始められると、遠くに雪を抱いたヒマラヤ山脈が出現したり、まるで参加者の皆さまと共に、涅槃に入られたお釈迦様の周りにご一緒しているかのごとき臨場感。
突っ伏して号泣するアーナンダ(お釈迦様のお弟子さんです)のごとく、こちらにまで大きく大切な存在を失うかのようなどうしようもない喪失感が……。引き込まれてしまいました。

150201-4.jpg法輪寺さまには、日本では珍しく、涅槃像が!皆さんと参拝させていただきました

仏教が、まさにこのお方、そして周りを取り囲んで悲しみに暮れるお弟子方から始まり、今の今まで受け継がれてきた事に感謝感激するのでありました。

和尚様方にも初めての方が多く、ご自坊での涅槃会の際にも、少しでも檀家さんにお話してみたいというお声が聞こえ、今後もより多くの方達にお絵解きを体験していただきたいという思いに至りました。来年は違うお寺さんの涅槃図で、またお絵解き講座を開催できれば?!ともくろんでおります!

私自身、寺院や美術館で涅槃図を拝見したら、「あぁ、涅槃図ね」とさらっと観て通り過ぎるのでは無く、今回教えて頂いた事を参考にじっくり拝見させていただこうと思っています。