おはようございます。
先週ご紹介しました熊野磨崖仏のほど近く、真木大堂へ。
真木大堂とは、六郷満山において中心的存在であった伝乗寺にあったお堂の一つと伝えられています。
ただし、文献なども残っておらず、さだかな事はわからぬまま。現在残っている9躯の仏像は、その名残とされています。
阿弥陀如来坐像と四天王、不動明王立像に制多迦童子・矜羯羅童子、そして日本最大級の大威徳明王(大きな牛に跨っておられる明王様です!)、いずれも重要文化財の指定を受けた藤原時代の傑作、お姿に魅了されてしまいました。
管理の方のお話によると、「小さい頃は阿弥陀さんの肩によじのぼったり、四天王の剣を抜いて遊んだりもしていたんです」と。なんと、驚愕の事実!
ですが、そのように子供時代に近く親しみながら、だんだんと大人達の信仰心に触れ、自然と宗教心が芽生え、育まれるのでしょうか。
私も世界各地の聖地を巡りましたが、ネパールでは寺院の狛犬の上に洗濯物が干され、子供の遊び場になっていたりと、あまりに自然に日々のくらしと“文化財”が共にある事に度肝を抜かれたものです。
確かに、守り、伝えてゆかねばなりませんので、文化財に指定され、鉄筋コンクリートの収蔵庫で大切にされるのも尊いのですが、木のお堂に鎮座し、近く拝めた時代もまた羨ましく思えたり……人間とは(私ですが)欲深いものですね。
いずれかの時代に浄土真宗寺院の檀家となった人々が、天台宗の仏像を大切に伝えてこられたからこそ参拝させていただけたわけで、この地域の方々には頭が上がらない思いなのでした。