『人間の頂 〈生きる〉意味を求めて』 野口法蔵

 

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苦しみのあるときは観音を、
豊かなときには、鬼を心に宿せ。
自分自身を睨みすえよ。           冒頭より

 

被写体の奥底に潜む真実を追求しようとすれば、どうしたって生死(しょうじ)の問題を明らかにせねばならなくなった……。
インドはコルカタ、死を待つ人の家を訪れた事が機縁となり、ついにはチベット僧院にて出家までしてしまった報道カメラマン、野口法蔵さんの半生。
「日本にこのような方がいらしたとは……」と、目から鱗。夢中で一気に読み終えました。

彼が、会いたくても会う事が叶わなかったチベットのリンポチェ(高僧)は、もちろん悟った人として他の僧侶を教え導く人であるわけですが、「自分の中の仏が小さくなってきたなと感じたら、また行に入る」ということで、行に入っていらしたそうです。
悟後の修行を怠らない、常に自分自身を見据えていらっしゃるお姿がありのままに綴られていました。

これは野口さんもそうで、チベット僧となったものの日本に帰国し、好きな方ができて結婚。チベット僧としてはいられなくなった為、臨済宗妙心寺派の僧籍をお持ちだそうですが、五体投地400万回満行(一日約十時間五体投地をして、18年かかるそうな)された後も、いまだに毎日五体投地を続けられているとか。
それだけ繰り返すと、死ぬのがこわくなくなるそうです。どういった境地でしょうか。

たまに断食をする関係で色々と調べているうちに野口さんにたどり着きました。
長野で断食道場をされているようですが、予約はいっぱいで3ヶ月から半年待ちとか。
それでも、私が今もっとも会ってみたい方のお一人です。