表千家・堀内長生庵 訪問

いま、新刊の企画で、表千家の重鎮、堀内長生庵 前庵主の堀内宗心宗匠にご執筆をお願いしている。
宗匠の、誰に対しても変わらぬその丁寧な対応と優しい笑顔、小柄なお身体には、重鎮という言葉がそぐわない気もする。
今年米寿を迎えられたというのに、精力的に各地を飛び回っておられるのは驚きに値する。
ご自身もあの竹田益州老師に参禅された方で、お茶人の中でもっとも禅に精通されていると言っても過言ではないだろうから、茶と禅とご自身のことについて書いていただくことになっているので、刊行を楽しみにしていただきたい。


さて、この著書には宗匠にお選びいただいた、お好み物も含めた堀内家の茶道具その他の写真も掲載する予定である。
お忙しいのでなかなかアポをとるのが大変だが、撮影日が近づいたので、先日、事前の打ち合わせのために、中京区の釜座通にある長生庵へうかがってきた。
そこで初めて入った茶家の感想を少し。
私は禅寺に生活する身なので、抹茶をいただくことはあるものの、お茶を習ったこともなければ、もちろん、今までに茶家に入るというような経験がなかったのだ。
長生庵は京都市内の小さな通り筋にあるが、門の戸をくぐり奥へ進むと、市内の真ん中にあるとは思えないような静寂な小さな空間だった。お寺もその門をくぐると空気が異なるが、初めて入った長生庵には、お寺とは違う美しさがあった。
苔むした庭に小さな木々。なにか、すべてが、ひとまわりずつ小さい。庭にしても通路にしても建物にしても戸口にしても、上品というのか、なにか小振りなのだ。ただこまごました中に、いろんな趣向がこらされている。
それからあちこちに扉があって、迷路のように通じている。
自分が小さくなって箱庭にいるような気分というのだろうか・・・。
日本の伝統文化であるのだが、その中で生きる人たちの息吹を感じ、また朽ちていず、ひどく新鮮で、洒落ていると感じたのだった。
(E.N Wrote)