長命寺 -滋賀・近江八幡-

近江の寺社や自然が好きで、京都とはまた違う空気に魅せられて度々でかけています。

150605-1.jpg今回は近江八幡長命寺。その名の通り長命祈願の寺(由緒も面白いです)。三十三所観音霊場の三十一番札所としても知られるお寺で、天台宗系の単立寺院、ご本尊は十一面観音菩薩です。

かの白洲正子がその著書『近江山河抄』の中で、「近江の中でどこが一番美しいかと聞かれたら、私は長命寺のあたりと答えるであろう」とまで書いた地。

150605-3.jpg昔の風情とは少し変わってしまっているでしょうが、確かに少しゆけば上写真や、先日ご紹介したこの風景(田んぼの写真です)が拡がり、長命寺の境内からは、古人が琵琶の海と表現したほどにおおらかで広い琵琶湖が望めます。

150605-2.jpgそして長命寺の伽藍はこのとおり。近江特有のベンガラ塗りが施された三重塔や諸堂。防虫や防腐効果があるとのことで、近江ではとてもよく目にします。ワケには諸説ありますが、こんにゃくまで赤いですね・・・。私は茶の湯の懐石で使われていた事があり、その時が初めてでしたが、誠に驚いたものです。

150605-4.jpg霊験あらたかな巨大な岩もあちらこちらに。こちらは「修多羅(すたら)岩」と呼ばれ、「修多羅とは、仏教用語で天地開闢(かいびゃく)、天下太平、子孫繁栄を言う。封じて当山開闢長寿大臣、武内宿禰大将軍のご神体とする」だとか。

なにか「かなわないな・・・」と思うような自然の産物、自然そのものに出会った時に、有難いような祈るような気持ちがどこからか湧いて参りますが、それは昔も今も変わらないのだと思います。

かく言う私も、宗教的聖地をまわろうと大学の卒業旅行でネパールを訪れましたが、結局は寺院などよりも、4200メートルまでトレッキングをして拝んだ8000メートル級の山々が心に響き、かの地の人々が山を神と拝む理由がわかったような気がしたものです。
今回の参拝ではそのような事を思い出しつつ、岩を前に手を合わせました。