5月27日に、表千家堀内長生庵の前庵主・堀内宗心宗匠がご逝去されました。
季刊『禅文化』にご寄稿いただいた事もあり、書籍の刊行でも大変お世話になりましたのはもちろんのこと、私個人としましては、茶の湯の師匠が長年師事するお師匠さんとして、遙か彼方に望む道しるべのような御方でした。
世の定めである事を知りながらも、ずっとお元気で我々を導いて欲しいと、あらぬ願いを抱いて参りました。
訃報を耳にした次の日はいつもの稽古日。
「私でもこのような気持ちなのだから、我が師のお気持ちはいかばかりか・・・」と思い稽古場に向かいましたが、師は明るく、「さぁ、宗匠にお教えいただいた如心斎式の花月を皆でやりましょうよ、宗匠にご覧いただきたいわ」と・・・・・・。
稽古場の先輩が点ててくれるお茶一幅を口にしても、茶室で何をしていても、宗匠が満ち満ちているような気がして、私が茶の湯の稽古を続ける限りは、宗匠はいつも生きていらっしゃるとわかった次第です。
旅立たれてなお尊い御教えをくださる御方。その御方の教えを一言たりとも聞き逃さぬと稽古を励んで来た我が師。
気持ち新たに稽古に励もうと思った次第です。
引く人も 引かれる人も 水の淡の 浮き世なりけり 淀の川舟
また、宗心宗匠は建仁寺の竹田益州老師に参禅され、各派の管長や老師方とも交流のあった御方。
ここ最近、研究所の理事会や記念企画で様々な和尚さん方にお会いしましたが、管長や老師、総長さんをはじめ、花園大学の茶道部で宗匠のお人柄に魅せられた和尚さん方が口々に「あのような方は稀有の存在であった、素晴らしいお人柄であった」と仰るのを拝聴する機会にめぐまれ、皆さんと宗匠の事を偲ぶ機会があり、有難い事でした。
心より、ご冥福をお祈りしております。