臨済宗大本山相国寺方丈において、伊藤若冲筆の動植綵絵の複製画が公開中です。
この動植綵絵、元々は相国寺蔵でありましたが、明治の廃仏毀釈で寺が弾圧を受けていた折、境内地を守る為に手放されたものであります。
いわばこの三十幅が境内を守ったわけで、それがなければ現在の相国寺さんはどうだったのであろう?!などと思いつつ、感慨深く拝見しました。
美術館などで公開される事はありませんので、相国寺の観音懺法会前に方丈で公開されるのみです。
複製とはいうものの、絹本にコロタイプ印刷、さらに絵師により加筆されていますので、「真贋を見分ける・・・」などという世界からも逸脱するかのような・・・。
さらに、歴史的な背景や、この度複製が叶い、観音懺法会にて方丈にお軸を配しての儀式が復活した事など、様々な“おもい”に心寄せる時、確かに伊藤若冲が描いたものではなくとも、色んな思いを載せて、この軸は既に有難き宝、今後も大切にしてゆくべき遺産なのだと思いました。