おはようございます。
先日ご報告致しました、名古屋の徳源僧堂さんでの講演会。午後からでしたので、午前中は久々に近くにあります徳川美術館にお邪魔してきました。
常設展示に加え、企画展としまして「対局の美 白と黒が織りなす世界」が開催されていました。
常設展にも様々な素晴らしい宝物が展示されていましたが、中でもこれ一つ拝見できれば、来た甲斐があったというもの・・・と思えましたのが、宮本武蔵の「蘆葉達磨図」なのでした。
剣豪が描き出すあの線には、剛と柔の絶妙なバランスと言いましょうか、その精神がそのまま線に現れているかのような。昔から枯木翡翠図などを本で見ては憧れていましたので、禅宗の画でよく題材とされる達磨図が拝見でき、感無量。
企画展では、かの有名な徳川将軍家伝来の白天目、それと引き合いに出される黒織部や黒楽茶碗。能であって能にあらずの“翁”からは、白式尉と黒式尉。
様々な白と黒を拝見しましたが、この日はうだるような暑さ。この2つの色が揃うと妙に涼やかで気持ちまでスッキリし、少し暑さも和らぐようでした。
さらに興味深かったのが、黒の染め方についてが、天然染料なども紹介され、詳しく解説されていた事。一つの染料で染める事はできず、様々な色を重ねてその深さを出す黒。つまりは、手をかけた物とそうでない物との差が出やすく、母がよく「皆が黒を着ている時、つまりは喪服の黒が一番よくわかる」と言っていた事を思い出しました。
なんとも面白い着眼点の展覧会。7月26日まで開催中です。