第40回「京の夏の旅 文化財特別公開」南禅寺大寧軒

以前、南禅寺の塔頭にお仕事で伺いました折、固く閉ざされた門の向こうに少しだけ垣間見える世界がいたく気になっていました。
その“少し”だけでも、向こうに広がる世界がきっと素晴らしいものであろうと、どうしたってわかってしまうような、そんな気配を感じての事。

150903-1.jpg南禅寺大寧軒。室町時代には大寧院があり、その後幾多の歴史的変遷を経て、明治時代に藪内家(茶道)の所有となったそうな。
垣間見えていたのは、池泉回遊式でありながら、茶家の所有らしく茶庭(露地風)の意匠をこらした庭園だったのでした。

150903-2.jpg400坪以上ある庭内には、小間の茶室「環翠庵」が。例えば茶会をするとして、この茶室への席入りも、幾通りあるだろう?!と思うかのような・・・。茶庭としてはなかなか他に類を見ないのではないでしょうか。面白い趣向で茶会ができそうです(現在は南禅寺の所有となり、全く使われていない様子ですが)。

150903-3.jpg琵琶湖疏水を引きこんだ清流には、その証として、しじみの貝殻も目立ち、豊富な水量を誇っており、夏の暑い盛りに訪れましたが、緑一色の世界で水の音を聴き、まさに涼を得るひとときでした。

150903-4.jpg9月30日まで。滅多に公開されませんので、皆さま是非この機会にお運びください。