「死んだらどうなる」-『無文全集』飛ばし読み(2)-

蓮の葉

 「人間が死んだら霊がどうなる」とか、「魂がどうなる」とか、そういうことが問題にされるのですが、仏法では問題にしないのだ。死んでからの霊というものを問題にしないと同時に、生きておるうちから霊というものは問題にしない。我というものは問題にしないのだ。何を問題にするかというと、全宇宙をことごとく我と直観のできないうちは迷いだという。客観の世界がそのまま我だ。主観と客観のない世界が分からないうちは、ことごとくが迷いである。自我というものも迷いである。死んでからの霊どころではない、生きておるうちから自我にとらわれたものの見方、ものの考え方は全部迷いだ。自我が取れて、主観と客観とが一枚だという世界が分からんことには仏は分からん。真実の自己は分からん。
(『無文全集』第九巻p617より)