憧れの背振山 -栄西禅師ゆかりの地-

もはや10年以上も前の事でしょうか、茶の湯の稽古場でのこと。

師匠が、「宗匠とうちの主人が背振山に行って来たのよ……」と話しておられ、何の事かとよくよく聞いていると、なんでも栄西禅師が唐より帰国され、最初に茶の種を植えられた山だという事で、私の中でそれ以来憧れの地となっていました。
*詳しくは、霊仙寺の石上坊にて、1191年に宋より持ち帰った種を撒き、茶を育てたとか。

160226-1.jpg福岡市と佐賀県神埼市にまたがる山で、ネットで情報を調べるのですが、いまいち確かな事がわからぬまま、ともかくその昔、修験の山として栄えた背振山にその中心的寺院として存在したという霊仙寺跡を訪れたらおのずとわかるであろう・・・と。

160226-2.jpg閉鎖になっている山道も多く、もはやどのルートで行ったのかわからないほどに迷いに迷ってやっとたどり着いた地。
観光地化されているとは言いがたく(さすがにあまり訪れる人がいない模様)、地元の人に聞いても知らない方ばかり、なかなかに難儀しました。

160226-3.jpg倒れていましたので、とりあえず岩にたてかけておいてみました……。努力してみたのですが、どうしても真っ直ぐできなかった事をお許しください。

160226-4.jpgこの辺りが、最初に茶を植えたとされる石上(いわかみ)坊跡です。
続いて、霊仙寺跡・乙護法堂へ。

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160226-6.jpg茶の湯の稽古をする者としては、禅と共に茶が中国よりもたらされ、ここから全てが始まったのだな…と、辿り着いた時の感慨もひとしおでした。

160226-7.jpg稽古場での稽古も大切ですし、このように、茶に縁のある大切な地を実際に訪れて、禅宗とは切っても切れない歴史を持つ“茶の湯の歴史”が、自身の内に流れ込んでくるような体験、体感も大切にしたいと思っています。

栄西禅師につきましては、研究所から『栄西-千光祖師の生涯-』ならびに『栄西の道』を刊行させていただいております。さらに、別冊太陽も!是非お手にとってご覧ください。