おはようございます。
先週のことになりますが、臨済宗の14ある大本山の一つ、静岡の方広寺さんへ宝物調査にてお邪魔しました。
花園大学歴史博物館館長・福島恒徳先生と研究員の方2名、禅文化研究所より2名の調査隊、おなじみのチームです。
今回はほぼ、軸物の調査ならびに撮影でしたが、私自身は殊の外、お軸の表具(の裂地)に関心があります。
「本紙より表具かいっ!」という関西流のつっこみがいつもどこかから入りますが、いえもちろん本紙がメインです。ですが、そのメインたる本紙がどれだけ所有者に愛され、大切にされたかは表具に出ます。
もちろん、廃仏毀釈の時代や戦時中など、お金や物が無かった時代に、良い職人に良い裂地を使って表具をしてもらうのは不可能な事があったやもしれませんし、所有者のセンスにも左右されます。
ですが、ほぼ間違い無く、本紙が素晴らしいものであれば、表具もそれに添った物が多いのです。
本紙を見ずとも、軸物を掛ける途中で見えてくる表具で、「ハッ、もしやこれは本紙もすごい物かもしれない」とわかってしまうわけなのです。
また、そんな良い裂地を使う職人は、本紙をひき立てる為の裂地の合わせ方や色のセンスも抜群、まるでピシッとした1枚の布であるかのごとく表具を仕立てます。「あぁ、良い職人さんだなぁ……」と、そういう仕事(職人の技と心)を目にするのは、たまらないものがあります。
庶務部長さんが生けられた葉蘭のお生花。素敵でした
と、私の趣味趣向の話に走ってしまいましたが、このように有難い調査を重ね、その成果を、宝物調査に入らせていただいたご寺院のご協力を得て、花園大学歴史博物館にて、展覧会という形で発表させていただいております。
昨年秋には、「武蔵野の禅刹 平林寺 ―伝来の書画名宝展―」を開催。
次回の展覧会は、昨年調査に入らせていただきました、東京の麟祥院さん(春日局縁の寺)の宝物展を予定しております。展覧会にあわせて、講演会も開催しますので是非ご参集くださいませ。詳しくはまたご案内させていただきます。
さて、今回の方広寺さんの調査ですが、宿坊に泊めさせていただき、夜は精進料理をいただきました。朝は境内をお散歩。なんとも気持ちの良いものでした。
一般の方もご宿泊(一泊禅寺体験)可能、精進料理もいただけますので、是非静岡へお参りの際は命の洗濯を!