信楽にある桃源郷、MIHO MUSEUM(ミホ ミュージアム)を訪れた。
2000年に開催された「白洲正子の世界」で初めてここを訪れてから、幾度も足を運んでいる美術館だ。
信楽の山の中の、はっきり言ってかなり不便な場所にある。しかしその空間の開放感と、企画展のおもしろさ、四季折々の風景に会いに行こうと思うと、少々時間がかかっても行く価値は大いにある。
今回は夏らしく、大山崎山荘美術館に引き続きガラス展だ。
ガラスと言っても、古代オリエントや中国、日本の古墳などから出土した物から、薩摩切子、昭和初期の薬や化粧品のガラス瓶などまで、幅広くガラスの世界を楽しめた。訪れる人の年齢によっては、みかん水やニッキ水のガラス瓶などは子供時代を彷彿させる物であろう。
ガラスのビーズや玉などの展示は、確かに美しいのだが、古代の人々がこの美しく光るガラスをどのような形で宝飾品として使ったのか、図か等身大の像か何かで教えて欲しい気がした。
その時代背景などを詳しく知らない当方としては、なかなかイメージが湧かないのである。
そうとはいえ、これだけ様々な時代の様々なガラスに触れる機会はそうは無いので、一度にいろいろな物を楽しめる点では良かった。
一番心に残ったのは、当たり前かもしれないが、滋賀・百済寺の室町時代の如意輪観音坐像だ。
装飾品にたくさんのガラス玉が用いられている。広い展示室でもその存在感は圧倒的で、是非これをお寺の薄暗い本堂の中で見てみたいと思った。そういう所でこそ、この観音様の本来の美しさを発見する事ができ、こちらも自然と拝みたくなるのだと思う。
ただ、MIHOミュージアムは照明を工夫されているので、仏像等の展示も違和感を感じすぎる事は無い。
さて余談だが、美術館にて「お?!このお方、誰だっただろう・・・」と、どこかで見たことのある素敵な紳士に出会った。なかなか思い出せないでいたが、ようく考えてみると、京都の老舗和菓子屋のご主人だ。「あぁ、こういう展示を見て、また新しいお菓子を作るヒントをつかんだりするんだろうか」などと思ったりした。
追記【MIHOミュージアムその他情報】
○桜の時期はまさに桃源郷。
○チケット売り場隣のレストランのおにぎり御膳は美味。
有機農法で作られた物しか使っていない為、これを食べて美術館を見て、周りの緑を眺めれば、身体も心も浄化されるように感じる。
○館内カフェの、季節のフルーツ入りロールケーキはしっとりとしていて、大変美味。
○地下のショップにある栞は、一枚30円で所蔵品の素敵な柄を使っており、自分用にもお土産にも最適。
美しい物を見て、美味しい物を食べて、一日過ごせる私の大好きなミュージアム。時間があれば信楽焼の窯もとを訪ねて歩くのもまた楽しい。
(N.K Wrote)