兵法の 梶をとりても 世の海を
渡りかねたる 石の舟かな
中学生か高校生の頃だったか、この柳生石舟斎の句を耳にし、なんとなく「かっこいいな」と思ったものの、特に柳生の里にまで足を向ける気にもならずに過ごしていたが、先日やっと訪れてみた。
ここ、芳徳寺は、石舟斎の菩提を弔う為、その子宗矩が創建した大徳寺派の禅寺。
開山は宗矩と親交のあった沢庵和尚。
歴史上の人物が当時の名僧と親交があったり、居士として禅の修行に励んでいたりする事はよくある事だが、特にこういった所を訪れても、何宗のお寺なのか、なぜその宗派の寺を菩提寺としているのか・・・などとはあまり関心が持たれぬ事も多い気がする。
観光地と化してしまった寺では、何宗の寺なのかを知りたくても、拝観チケットやパンフレットにも書かれていないなんてことも無きにしもあらず・・・。
その人物の背景や、寺の創建の由来などを知ってこそ、歴史への理解も深まり、旅もより一層味わい深いものになる。
是非、お寺を拝観される際は、お庭に心癒されるのももちろんだがその他の事にも少しづつ興味を持っていっていただきたい。