雨の日の門送 -遠諱報恩大摂心満了-

皆さまご無沙汰いたしております。

臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱の報恩大摂心ならびに大法要も終わり、その余韻を残しながらも、漸くいつもの研究所の雰囲気に戻りつつあります。

皆様には臨黄合議所のFBページにて、随時、摂心や法要の様子をご覧いただいておりました。

こちらからどうぞ

160315-2.jpg
中でも“雨の日の門送”、共に修行した雲水達が、老師方やお世話役の僧侶達全員に見送られ、それぞれの僧堂へ帰って行く姿は、印象的ではなかったでしょうか。

私も写真撮影をさせていただいておりましたが、門を出た所でくるりと振り返られ、深々と長い間礼をしていた雲水さんに心打たれたものでした。

このたび、摂心期間に多くの雲水たちの参禅を受けられ、また、宿忌(法要)では導師をお勤めになられた、円覚寺派管長・僧堂師家の横田南嶺老大師よりお言葉をいただきましたので、掲載させていただきたいと思います。

160315-1.jpg修行僧堂での老師方の厳しさは、在家の私などには想像に難いものがあります。
ですが同時に、大きな慈悲の心を備えられた方々だからこそ、お弟子さん達もその厳しさに耐えうるのかと思いました。

_________________________

午前中の門送も雨で気の毒でしたが、
私は、雨の中見送りながら、「これもいい」と思ったのでした。

若い彼らがこれから、宗門で生きてゆくのは
この冷たい雨よりももっと厳しい中を行くのだと思います。

仏教離れや寺院消滅などいわれる中を
旅立たなければならない彼ら一人一人を思うと
これからはもっと大変でしょう。

私は、山門を出てゆく雲水一人一人を合掌しながら
ズッとその雨に濡れた草鞋を見つめていました。

どうか、この冷たい雨の中を
草鞋を履いて歩いたこの日の事を
終生忘れないで欲しい
辛い時、苦しい時には
この日のことを思い出して欲しい。
大勢の和尚さん、老師方が手を合わせて見送ってくれた
この日の事を忘れないで欲しいと念じるうちに
涙がにじみました。

円覚寺派管長・円覚僧堂師家 横田南嶺老師より

160315-3.jpg