第3回 西村惠信所長と行く、“禅と文化”の旅

承天閣美術館

平成19年5月30日(水)、たくさんの方にご応募いただいた“禅と文化”の旅、第3回目を終えました。
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【承天閣美術館 若冲展-釈迦三尊像と動植綵絵-】
この日はあいにくの雨(実は禅と文化の旅、雨の日が多いのです。雨男・雨女はいずこ・・・)。
京都駅を出発し、連日多くの人で賑わっているという、相国寺承天閣美術館にて開催中の「足利義満600年忌記念 『若冲展』-釈迦三尊像と動植綵絵-」をまず拝観致しました。
釈迦三尊像と動植綵絵が120年ぶりの再会といわれていますが、なぜなのでしょうか。この展示のいきさつについては、承天閣美術館HPに詳しく書かれていますので、是非ご覧下さい。
青物問屋の息子であった若冲だからこそふんだんに用いる事のできた、当時高価であった「白」。
また、他の様々な色を使って精緻に描かれた数多くの動植物、そして正面に釈迦三尊像。筆舌につくしがたいものでした。
江戸時代を生きた若冲が、いのちとは何か、信仰とは何か、今の時代の我々にその尊さを問いかけていました。
短い会期の間に、日本全国からひと目これを観たいと集まる人々。みなさん、このような大作を相国寺に寄贈した若冲の心、思いを感じた事でしょう。


【西村惠信所長講演 於:相国寺書院】
美術館を堪能した後は、恒例の惠信所長による講演です。
緑美しいお庭が見える相国寺の書院にて、1時間超の学びの時間でした。
今回は、白隠禅師の生涯とその教え、とくに現在の日本の臨済禅は全て白隠門下となるにいたったこと、また、書画墨蹟、あるいはかな法語を通じて、広く民衆に禅の教えを普及させた、禅や禅の文化の大衆化をはたしたこと、そして、中でも有名な『白隠禅師坐禅和讃』を解説いただきました。

書院にて講演

書院横の庭

【黒谷 金戒光明寺】
繁なりにて昼食の京懐石をいただいた後外へ出ると、さきほどまでの雨が嘘のようで、お日様が顔をのぞかせていました。午後からの予定は雨だと大変な所ばかりで、どうなるのかと心配していた研究所職員も一安心でした。
さて、午後一番は地元の方からは「くろ谷さん」として親しまれる浄土宗の大本山で金戒光明寺。
御影堂にて御本尊阿弥陀如来、吉備観音をお参りし、寺の歴史などをお話いただいた後、普段拝観できない方丈の襖絵やお庭までご案内いただけました。さらに、帰りには山門にまで上らせていただき、一行は大大大満足。
山門には釈迦三尊並びに十六羅漢がお祀りしてあり、天井には龍図が…。京都中が見渡せる山門の上で雨上がりの澄んだ空気の中、新緑の山並み、京都の町並みを楽しめました。

金戒光明寺御影堂

御影堂でお話を伺う。広い広い本堂は、拝観料を取るわけでもなくいつも来る者の為に開放されている。
なんと有難い事でしょうか。

山門階段

皆で山門の階段を上っていきます。

山門をみあげて

この上に釈迦三尊像並びに十六羅漢様がおわします。我々がお参りさせていただいた山門を見上げて記念に一枚。
【燕庵 薮ノ内家】
千利休に茶道を相伝された薮内紹智を初代とする茶家、薮ノ内家を訪れました。
今回は特別に茶室や露地を見学、さらにお点前までしていただき美味しいお茶とお菓子を頂戴致しました。この日出されたお菓子は目にも涼しい葛の主菓子で、この日の為に菓子司、俵屋吉富にて御用意下さった物だとか。よく見ると葛の中に小さな蛍が。こんな所にも季節が・・・。一同感激でした。
古田織部や薮ノ内流歴代の意匠を存分に残す茶室や露地、お道具、あらゆる所にもてなしの心、代々受け継がれて来た歴史の重みを感じ、一つ一つの丁寧なご説明も有難く、普段なかなか出来ないような体験をさせていただけました。

薮ノ内家門前

今回、訪れた先の方々には、大人数にも関わらず快く迎えて下さり、ご協力賜りました事、この場をもちまして心より御礼申し上げます。
次回、また秋に開催致します“禅と文化の旅”にて皆様にお会い出来ます事を心待ちにしております。
有難うございました。