登山に成功したら「山と仲良しになった」と何故言わないのか。征服するべき対象を探し求めるのは自然にたいする東洋的態度ではない。われわれは富士にも登るが、その目的は富士を「征服する」のではなくて、富士の美麗、壮大、孤高に打たれるにある。
(『続 禅と東洋文化』鈴木大拙 より)
本年は、海外に向けて仏教や日本文化、そして何よりも“禅”を伝えられた鈴木大拙先生の没後50年の年にあたります。
個人的にも、秘書であった岡村美穂子先生にお目に掛かる機会が度々あったりと、大拙先生のおことばに触れる機会に恵まれており、時代が変われど褪せる事のないその御教えに、改めて感じ入っております。
昨今日本を揺るがす自然災害ですが、同時に自然とは我々に計り知れない恵みをももたらしてくれることを、日本人はちゃんと知っています。
では、どのように付き合ってゆくのか。
自然とのつき合い方、自身との向き合い方、日本人としての在り方のヒントが多々、大拙先生のお言葉にはちりばめられています。
どれだけ時代が変われど、それらは普遍的な人類の遺産ともいうべき智慧であります。
私自身、今一度それらに触れる機会を持とうと意識しているこの頃です。
*金沢市にあります鈴木大拙館では、「没後50年記念特別展」が開催されます。
ポスターにある「O wonderful」は、「それはそれとして…」と共に、私の最も好きなお軸の一つで、訪れるのが楽しみです。皆さまも是非!
『相貌と風貌-鈴木大拙写真集』