円覚寺派管長・僧堂師家、横田南嶺老師とは、研究所からDVDを出させていただく際の収録で初めてお目にかかり、直にお話を拝聴する機会を得ました。
そして、その収録で話される老師のお話にたちまち引き込まれてしまい、以来色々とお教えいただく機会をいただいております。
DVDの中でも語っておられた、四弘誓願(しぐせいがん)にある「衆生無辺誓願度(しゅじょうむへんせいがんど)」。
___世の人々の悩み苦しみは尽きる事がないけれども、誓ってそれを救ってゆこう。
「あぁ、老師は常にこの願い、祈りのまっただ中に生きていらしゃるのだなぁ…」というのが、DVD収録時から一貫して変わらぬお姿として目にうつり、それは様々な活動に現われていらっしゃいます。
微塵もぶれる事なく貫き通されている大きな祈り、願いの力というものを実感させられます。
この度その一つの現われとして、『二度とない人生だから、今日一日は笑顔でいよう 生きるための禅の心』(PHP研究所)を上梓なさいました(ご自身でも法話で仰っておられましたが、題名が長いのであります!)。
仏教詩人・坂村真民先生の詩のご紹介とともに、生きるとは、愛するとは、平和とは、家族とは……様々な問いにお答えになられています。読む人それぞれの人生経験によって、一番に響いてくる箇所は異なる事と存じます。
「悲しみを忘れたり、乗り越えようと思ったりせずとも、抱いて共に生きていれば良い…」。私めもどれだけ安心を得たか知れません。
ふと、今は亡き表千家・堀内宗心宗匠が、弊所発刊の『歩々清風』の中で、下記のように語っておられた事を思い出しました。
書籍という媒体によって、多くの人をいっぺんに済度するという事もありうるのだなと思うのでした。
是非お手に取っていただきますように。
お茶を含めて、人を指導するということはひとつの菩薩道であります。菩薩の指導法は、つねに相手と同じ高さまで身を落として、すなわち身を低めて、そうして人を引き上げるということであります。荷物の集配所で働いているリフトのように、その人のところへ行って、荷物と同じ高さまで支台を下げて、荷物を持ち上げ、目的地に持っていくのであります。これは済度するということであります。決して高いところか ら叱咤号令するのではないのであります。
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