杉本博司 趣味と芸術-味占郷 -細見美術館-

160523-1-1.jpg杉本氏の作品との出会いは、何年か前に美術館で彼独自の表具、“杉本表具”に驚嘆したのが最初です。

できあがってきた表具に対して、「こういうイメージではなかった。もっとここをこうして…」などと言う事は少しはできても、本紙を目の前にビシッと「こうしたい」と明確に表具のイメージを持つ事はとても難しいことだと思うのです。

それが、彼の手にかかれば、大燈国師墨跡から西洋の古い絵画に到るまでが、寸分の迷いもなさげな表具により、引き立てられるのです。使われている紙や裂や軸先にも弥が上にも興味をそそられてしまいます。

どこにもカテゴライズされない自在の人。
どういう経歴の持ち主で何をしている人なのかは私は詳しく存じませんが、そんな事はどうでも良いと思わされ、ただただ彼の世界を楽しみたいと思うのです。
誤解を恐れずに申し上げるならば、私にとってはなんとなく利休さんを彷彿させる人であります。

6月19日まで、京都は岡崎の細見美術館にて。