「鈴木大拙没後50年記念特別展 O Wonderful !」が開催中の鈴木大拙館にお邪魔しました。
O Wonderful ! はご存知シェイクスピアの『お気に召すまま』に出てくるセリフであります。
大拙先生が「妙」の英語訳に頭を悩ませておられたところ、このセリフと出会い、まさにこれこそ「妙」を表現するのにぴったりだということで、西洋に「妙」の概念が伝わる事となったわけです。
大拙先生の秘書をされていた岡村美穂子先生は、この事を仰る時には必ずといって良いほど、「and yet agein ってもう1回最後に言ってるでしょう?そこなのよ!!!」と。
それを仰る時の先生の目の鋭さと輝き、力強い口調もいつも同じです。
皆さまどうでしょうか???
美穂子先生とお話させていただいておりますと、直訳ができない、日本語にしか無いような言葉、仏教用語などを、大拙先生が絶妙な英語で訳された事を知る機会が多く、感服すると同時に、その背景に仏教の教えや文化が含まれている日本語の豊かさに気付かされます。
話は変わりますが、先日ブログにてご紹介しました言葉についてお尋ねしますと、
大拙先生がアメリカにいらした時に、ある西洋人の登山家が、エヴェレスト登頂に成功し、「自分はエヴェレストを征服した……」と表現したことから出てらしたお言葉であった事が判明しました。
さらにその登山家は、自国の旗を山頂に立ててきたのだとか。
一方、ネパール人シェルパは、自身の持ち物の中から、命綱ともなるチョコレートを埋め、下山したのだそう。
私も、いろんな宗教に触れたいと、大学の卒業旅行でネパールに行きましたが、結局は、どんな聖地や寺院よりも、4200メートルから見た8000メートル級の山々の方が、どうしたって鮮明に印象に残っています。
神そのものなのだと思うしかありませんでした。
大自然は決して人の手でどうにかなるものでは無く、神仏そのものの現れ。
東洋的考え方、見方はいつも最先端かと。
今一度、大拙先生のお言葉に触れてみる機会を、皆さまも是非。
東京からの新幹線開通のせいか、いつも以上に賑わいを見せる金沢の町でした。
*季刊『禅文化』237号は、鈴木大拙先生と西田幾多郎先生の特集号です。詳細はこちらからどうぞ。