去る6月11日土曜日、滋賀県東近江市にある能登川コミュニティセンターにて、「能装束着付実演と能『竹生島』」というイベントが開催され、私も観て参りました。
このイベントは、「滋賀能楽文化を育てる会」が主催で、古く猿楽能と縁の深い滋賀県において、能楽文化を再び活性化していこうとされているもので、600席は満席となっていました。またその中には、地元の中学生200名も招待されおり、ほとんどの生徒が初めて観る能であったと思います。
内容は以下のような3部構成でした。
第1部
「謡、仕舞披露」
「文学解説『竹生島』」
「能面解説」
第2部
「能装束着付実演」
「能舞台、お囃子等の解説」
「仕舞」
第3部
「能『竹生島』」
特に第2部では、私も何度か能舞台の能を観たことはありますが、能装束を着けられる様子を観たのは初めてでしたし、囃子のそれぞれの楽器の特徴の解説も大変興味深かったところです。
第3部では、滋賀県在住の観世流能楽師で無形文化財でもある浦部幸裕氏をはじめとして京都観世会館の能楽師や地謡の方々による、琵琶湖に浮かぶ竹生島を題材にした能が演じられました。
会場は本来の能楽堂ではないため、能楽堂の柱に見立てた4本の短い柱がステージ上に立てられ、背景には松の絵ではなく、近江上布を使って琵琶湖と竹生島に見立ててありました。シテの能面の中からは、四方の柱は見えていないだろうと思うと、少しヒヤヒヤしながら観ておりましたが、さすがにそういった危うさは感じる隙も無い、素晴らしい舞台でした。
さて、弊所の季刊誌『禅文化』では、次号241号(2016/7/25発売)にて「禅と能」という特集を組ませていただきます。その一つの記事に「能面師から見た禅と能」と題して、能面作家の伊庭貞一氏にご寄稿いただいていますが、氏は今回の主催をされた「滋賀能楽文化を育てる会」の主要メンバーの一人でもあります。
相国寺派管長・有馬賴底猊下と観世流宗家の観世清和氏とのビッグ対談ほか、禅と能に関する書き下ろし記事も掲載します。
どうぞお楽しみに。