長岡禅塾訪問

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そぼふる雨の日の朝、京都府長岡京市にある長岡禅塾を初めて訪ねてまいりました。

長岡天神の森に連なる形で建っている長岡禅塾は、大学生を対象にした禅の寄宿塾で、昭和11年、日商岩井(現・双日)の前身である岩井商店の創業者岩井勝次郎氏によって設立されました。今も、関係企業や団体からの寄付金によって運営されているため、塾生は寮費を払うことがありません。

宗教法人(お寺)ではなく公益財団法人としているため、特定の宗派に属しているわけではありませんが、禅の実践生活をしながら大学に通えるように運営されています。

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初代塾長は、その辛辣さより「剃刀香洲」と呼ばれた梅谷香洲老師、二代目は西田幾多郎博士の高弟であった森本省念老師、三代目現塾長の浅井義宣老師と引き継がれ、現在は、副塾長として塾生ならびに通参の社会人の指導に当たっておられる北野大雲老師がおられます。

この長岡禅塾に寄宿し、のちに本山管長や僧堂師家になられた方も少なくありません。梶谷宗忍老師(大本山相国寺管長)、糸原圓應老師(平林僧堂師家)、篠原大雄老師(大本山永源寺管長)、道前慈明老師(大本山永源寺管長)などなどです。

現在は塾生が3名しかおらず、さらにそのうち2名は外国人だとかで、非常に運営に苦労をされているようでしたが、それにしてもこの掃除の行き届き具合は驚きでした。また、玄関から取り次いでくれた塾生の立ち居振る舞いは、僧堂の雲水とはちがい、非常にゆったりとした独特のもので、ある意味、感動さえ覚えました。

 

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7月1日からは摂心もあるということで、そういうときには、通参の社会人なども来られるとのこと。それぞれに個室の宿舎があてがわれ、禅堂では坐禅、そして老師に参禅といった僧堂摂心に準じた生活がなされるようです。

禅堂で寝泊まりはしないため、いわゆる単箱や蒲団棚はありませんので一風変わった禅堂ですが、内単と外単があり、たいへん立派なものでした。

1年以上寄宿することを前提に、入塾生を随侍募集されています。また一般の方には、坐禅会や提唱へ参加いただけるようです。詳しくはホームページをご覧下さい。

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さて、このたび、この長岡禅塾副塾長の北野大雲老師の著書を、禅文化研究所から発刊させていただくことになりました。禅門には、豪快、愉快、奇天烈な逸話がたくさん残っています。これらは実はそれぞれの禅者が厳しい修行をし坐り詰めてこそ出てきた話なのですが、老師自ら、そういった話を拾い集め、読み解き、一般の方々に広く知ってもらいたいということで、『禅に親しむ』(予価1300円〈税別〉)と題して9月中旬に発刊予定です。

どうぞお楽しみに。