表紙:重要文化財 翁(白色尉)/弥勒作・観世文庫蔵
今季は、禅と文化の関わり合いをクローズアップ。「禅と能」を特集しています。
禅は能にも影響を与えているといわれますが、では実際どのような繋がりがあるのでしょう。体系的につまびらかにできればと、禅門・能楽界・学界の皆さまにご協力いただき一冊にまとめました。
内容を一部ご紹介いたします。
まずは現場に立つ方のお話から探るべく、有馬賴底老師(相国寺派管長)と観世清和氏(第26世観世宗家)に語らっていただきました。それぞれの道を牽引されてきたお二人には、心身両面に多くの共通点があることがお話の中でどんどん見えてきます。興味深い巻頭対談を、能楽に造詣の深い土屋恵一郎教授(明治大学学長)のナビゲートでお楽しみください。
翻って、論攷では室町時代の「禅と能」に目を向けます。“世阿弥の芸論”と禅の繋がり、一休禅師が金春禅竹の能に見出したという“禅の心”などを、能楽研究の第一人者である天野文雄氏(京都造形芸術大学舞台芸術センター所長・大阪大学名誉教授)と松岡心平氏(東京大学教授)が述べてくださいました。
まだまだ続きますので、詳しくはもくじをご覧いただけましたら幸いです。
深い世界のあくまで一部を見るに過ぎませんが、宗教界・能楽界・学界、いずれかの視点に偏ることなく「禅と能」の関係を考察できたことには、一定の意義があるのではないかと思います。
よろしくお願いいたします。