逸話(4)越後の良寛さん―その2

今回も良寛さんです。有名な2首を紹介します。

【たくほどは風がもてくる】
長岡藩主牧野忠精(ただきよ)が、良寛和尚の人柄を慕い、新潟巡視の折り、わざわざ寄り道して、和尚の草庵を訪ねることになった。
その報せを聞いた村人は、和尚が留守の庵へ来て、庵の掃除や、庭の草引きをした。そこへ帰って来た和尚は、綺麗に掃除された庵を見て、
「こう草を抜かれては、昨夜まで鳴いていた虫も、すっかり逃げてしまって、もう鳴いてはくれまい」
と嘆いた。
しばらくして藩主が来たが、和尚は、一言も物を言わなかった。藩主は、和尚を城下に迎えたいと、ていねいに招いたが、和尚は黙って筆を執り、
たくほどは風がもてくる落葉かな
と書いた。これを見た藩主は、敢えて強制することもせず、厚く和尚をいたわって帰って行った。

【うらを見せ】
また、良寛和尚の句としては、
うらを見せおもてを見せてちるもみじ
が知られていますが、この句が生まれた背景には、深いものがあります。
一言では語れません。
中途半端で恐縮ですが、これで良寛さんを終えます。

私たちの心のコヤシになるのか、ただのザレゴトか。もうしばらく、禅僧の逸話をお届けします。