小生の山寺がある丹波篠山の畑は、現在、黒大豆の葉が大きく茂っている。もうそろそろ黒枝豆として出荷されるだろう。よくは知らないが、生産者の取り決めか何かで販売解禁日が決まっている。
小生の山寺の畑にも十年ほど前までは隣家の檀家さんが作ってくれていた。土起こし、植え付け、草ひき、すべてその檀家さんがやってくれるので、小生は何もしない。
ただ収穫だけは小生の仕事である。仕事と言っても、これは楽しい限りである。京都の某僧堂から雲水さんを数人お借りして手伝ってもらう。雲水さんというものは偉いもので、少し教えると手際よく収穫されていく。
まずバケツ半分ほどを収穫する。そして家内に届ける。家内はすでに湯を沸かしており、すぐに茹でる。塩加減は、さすがに地元の出だけあって抜群である。茹で上がるのに15分から20分ほどかかる。茹で上がると、収穫作業は早くも中断である。採り立て茹でたてを食べる。実にうまい。豆もうまいが空気もうまい。その上、ビールもうまい。
収穫作業が終わると、枝つきのまま雲水さんに持って帰ってもらう。これは少し酷である。なぜなら、雲水さんは電車で来ておられるからだ。しかし、それぞれ工夫して運びやすいように結束される。見事なものである。
こんなことが6、7年続いた、そろそろ土起こしという時期に、隣家の檀家さんがやって来られて、「ワシも歳やあ、もう作れんわ。それに連作で土地も痩せておる」と言われた。こうして、我が山寺の黒豆収穫作業は終わった。
いや、実に楽しかった。読者の皆さんには申しわけないが、とりとめもない小生の思い出話である。
販売が解禁になると、丹波篠山の道路わきには、農家さんの臨時発売所がオープンする。丹波篠山にお越しの際はぜひお求め下さい。格安で売っています。生産者の顔を見て買えますのでお勧めです。