吉備津神社

 

fu_5107.jpg

 

fu_5110.jpg

岡山県岡山市に鎮座する吉備津神社。備中国の一宮として崇敬される。一般的には「吉備津の釜」の怪談で知られている。「吉備津造り」と呼ばれる様式で建てられた壮大な社殿と、長い回廊は一見の価値がある。

この独得の社殿の形式は、鎌倉時代、東大寺大勧進職をつとめた重源上人の構想によるとも言われる。上人は天竺様という大陸伝来の建築技法で東大寺を再建したが、神社建築でも伝統に囚われず新しい様式を試みたのだろうか。

栄西禅師は、この神社の神職を代々勤めた賀陽氏の出身である。栄西禅師と重源上人には親交があった(兄弟とする伝説もあるが、事実ではない)。この神社の再建事業には、敬神の念篤かった禅師も何らかの形で関わっていたに違いないが、今ではよくわからない。

京都建仁寺の鎮守である「楽神廟」には、吉備津神社の眷属神の一柱が祀られている。栄西禅師が建仁寺を創建した時、備中から飛来して鎮守となったという伝説がある。創建に関する確かな記録はないが、鎌倉末期にはすでにその存在が確認されるので、禅師自身が故郷の神を勧請したという可能性も高い。