泉屋博古館 特別展「高麗仏画-香りたつ装飾美」

001.JPG京都は岡崎にある、泉屋博古館に行ってきました。南禅寺、永観堂、法然院など有数の紅葉名所が建ち並ぶエリアとあって、一帯は大混雑だったのですが

002.JPG館の周辺は、こんなに静か。山裾の瀟洒な美術館です。

003.JPG泉屋博古館は住友家が蒐集した美術品を保存・展示する施設。特に第15代・住友春翠(友純)が集めた中国の古銅器と鏡鑑は白眉で、中国以外では最も充実したコレクションといわれているそうです。実際、広い展示室が4つもありじっくり観るなら半日は必要かも。

004.JPGエントランスにて。遊び心のある演出が少し意外でした(いくつになってもこういう仕掛けには心が動きますが、あいにく単独行動でした。残念です)。

005.JPG前置きが長くなりました。この日の目当ては、高麗王朝後期(13~14世紀)に制作された華麗な仏画。館所蔵の重文「水月観音像(楊柳観音像)」の全面解体修理が終わったタイミングで、国内38年ぶりという高麗仏画の特別展が開催されているのです。

かつて韓国で高麗仏画を拝見する機会に恵まれた私は、一目でその繊細な美しさの虜になってしまったのですが……。現存する高麗仏画は全世界でも160点ほどだそうで、まとまった形ではあまりお目にかかれないのが実情と知りガッカリ。まさかこんな日がやってくるとは。とても嬉しかったです。

006.jpgこれらの荘厳は仏の徳を表わすのだそうです。やはり、このうっとりするほど繊細な装飾が人の心を掴むのでしょうか、開会早々すでに人気の展覧会だとか。会場では修復の技法や成果なども紹介されています。「どれだけ細かいんだ」と気が遠くなる作業ぶりですが、人が畏敬の念を抱く仏画の秘密を垣間見た気もしました。皆さまも是非。