道元禅師初開道場 興聖寺(宇治)

s_MG_0683.jpgご存知のとおり、弊所は主に臨済宗の研究機関でありますが、もちろん同じ禅宗のひとつ、曹洞宗ともいろいろなご縁があります。
この禅文化研究所の刊行物のなかで、おもに語録類の訓注を担当しているN師は、もともと在家出身ですが、現在は曹洞宗寺院の僧侶。曹洞宗僧侶なのに臨済僧の研究をしているという、とても変わり種の一人です。それはさておき、N師が修行に入門していたのが、この宇治の平等院の宇治川を向かい合わせにある興聖寺(曹洞宗)です。

先般、あいにくの雨でしたが、一度訪ねてみようと思っていたので、カメラを抱えて参拝してきました。

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ちょっと中国風の山門です。
興聖寺は常々、こうして無料拝観をされていますが、先に書いたように、修行道場(僧堂)でもあります。そして、なによりも、曹洞宗開祖である道元禅師が、あの永平寺よりも先に開かれた初開道場なのです。

ただ、道元禅師が建立されたもとの興聖寺はここではなく、別のところにあったようで、応仁の乱以後、衰微していた興聖寺を惜しみ、永井信濃守尚政公が、両親の菩提のため伏見城の遺構を使って、現在の地に諸堂を再建し建立整備したとのことです。

 

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正面は本堂で、本尊の釈迦牟尼仏は、道元禅師作と伝わっています。
右手が庫裏、左手に禅堂があります。禅堂のさらに左手には衆寮や経蔵がありました。

s_MG_0677_トリミング.jpg通常は庫裏の内部も拝観できるようでしたが、この日は法要があるとかで観る事ができませんでしたが、庫裏玄関には、こんな魚板が。今でも打たれているのでしょうか、腑は抜け落ちていますね。

s_MG_0679.jpg静寂な庫裏の廊下。同僚のN師もこの廊下をぞうきん掛けしていたんだろうなぁと、少々、感慨深く観ておりました。

じつは拝観客の多くは、この山門前の「琴坂」の紅葉を楽しみに来られていたのだろうと思います。ご多分に漏れず、私自身もその一人。しかし京都市内より遅いのか、まだ完全には紅葉しておらず、おまけに雨で絵にならずといった次第。残念でした。いずれまたお参りしましょう。

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