相国寺 承天閣美術館

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烏丸今出川近くにある相国寺の山内に、承天閣(じょうてんかく)美術館がある。相国寺ゆかりの宝物などが展示されている美術館だ。
相国寺の隣には同志社大学もあり、なかなかにぎにぎしい界隈であるが、山内に入ると非常に静かで、町の喧騒はどこへやら。
そんな山内の一番奥まった所にこの美術館はある。相国寺といえば、金閣寺や銀閣寺を末寺として持つ事もあり、その所蔵物には目を見張るものが溢れていた。


銀閣寺といえば足利義政。私は彼のファンであるが、彼に近侍して諸芸をつかさどった同朋衆の一人であった能阿弥による雲龍図は圧巻であった。
様々な美術館を観て歩いているが阿弥衆による作品を観たのは、恐らく今回が初めてだったように思う。唐物の目利きであり、将軍家にある唐物の選定なども行なっただけでなく、自らもあれほどの物を描くとは・・・。
「ここだからこそ、こういう物が残っているのだな」と感動した。
歴史の教科書で習った足利義政は、東山文化に関してよりも、駄目な将軍というような印象を抱かせた。
だが義政は、代々将軍家に使える同朋衆(阿弥衆)のみならず、身分関係なく、諸芸に優れるものをとりたてたと言われる。
彼らが日本文化の発展に与えた影響は図り知れず、将軍としての義政の評価がどうであれ、茶道や華道を学ぶ身として、彼と同朋衆達に畏敬の念を抱かざるを得ない。
余談であるが、新しくなったこの美術館は、靴を脱いでそのまま絨毯の上を歩けるようになっている。スリッパや靴などを履かない為、自分や他人の足音を気にせずとも良い。
非常にリラックスしてゆったりとした気分で鑑賞する事が出来、嬉しい心遣いだと思った。
(N.K Wrote)