仲秋の名月に想う

 

blog_MG_5381.jpg一昨日、10月3日は仲秋の名月でしたね。

朝から急に寒い一日で、ついに1枚着込んででかけたのですが、帰宅時に空を見上げると、きれいな月が雲ひとつない空に浮かんでいました。皆さんもご覧になったでしょうか。

満月は今夜らしいので十三夜の月だったようですが、限り無く円に近いけれども完全な円でないところに、それを名月とみる日本人の侘びの心があるのではないかと思いました。

blog_MG_5397.jpg私も夕食後に一人外に出て、鐘楼の上にしばらく坐り、じっと自坊の本堂の上にある月を見ていました。

彼岸の中日に、沈んでいく夕陽を観て、その方角にある浄土の情景を想うという「日想観」というものが、浄土思想にはあるようです。

また、「月輪観」といって、わが心を満月のようであると観じる密教の観想法もあります。心の中で満月に向かっているように観想する修行ですので、じっと月を眺めている今夜の私とは違いますね。

補陀落山(ほだらくせん)の岩上に坐して、水面の月を眺めておられる観世音菩薩を描かれた絵画はよく知られています。月輪観はその観想した月が菩提心を示すわけですから、普く世界を救済しようと努められる観音様の菩提心を満月にもあわせて描かれたものなのでしょうか。

あたりに水辺もないですし、観音様ではないですが、鐘楼の上に坐って、私も秋の夕べに少し想いを巡らせてみた夜でした。

blog_2017-10-04-21.26.jpg