丹後ちりめんで有名な京丹後市久美浜にある、「安野光雅館」に行ってきました。今年6月にオープンしたばかりの同館には、画家・絵本作家で装幀家の安野光雅さんの作品が常時展示されています。
現在、特別展「安野光雅の『洛中洛外』」を開催中。こちらは、禅宗ではありませんが嵐山にある大悲閣・千光寺です。「絵は、見えているものだけを描けばいいということではありません」と安野先生が仰るとおり、周囲の山並みや険しい階段、凜とした秋の空気まで目に浮かんできませんか。
禅のお寺は慈照寺(銀閣寺)が描かれていました。それぞれの絵に先生のコメントがつけられているのですが、「いぶし銀というのは最高の褒め言葉だ」と。創建から500年以上の佇まいや歴史の重みを、こんなにも短く、しかも的確な言葉で表されるのだなあと。自分も何度も足を運んできたお寺だけに、同じものを見ても受け取るものが全く違っていたことを思い知らされます。芸術家の感性は、やはり一般のそれとは違うんだなあ!という感動が改めてありました。
他にもさまざま印象に残る作品がありましたが、絵を見てぜひ実見したくなったのがこちら。樹齢千年という椿です。念のため地元の方に訊ねてみたところ、残念ながらやはりお花のシーズンではないそうで、再訪を誓いました。
この『洛中洛外』は書籍化もされています。ぜひぜひ、お手に取ってみてください。とても楽しい心の旅になるかと思います。