新刊『ランカーに入る』

 

ランカーに入る.jpg

それにしても猛暑。京都では連日38度台です。各地で熱中症による死亡者も出ています。自坊の閑栖和尚も、「寝ているときにエアコンなどいらない、電気代がもったいない」などと申しておりましたが、こんな暑い夜にそんなこと言っている場合ではないとエアコンを入れてやりましたら、翌朝、「すごく快適だった、今まで朝が辛かったのは、このせいだったのか」と。暑すぎると血管がドロドロと血流も悪くなります。どうか皆さんも充分お気を付け下さい。

豪雨の被災地で復旧にあたられている皆さんも、どうぞ無理のないようにお願いします。

さて、今月末に発刊する新刊『ランカーに入る ―すべてのブッダの教えの核心―』のお知らせです。

禅で大切なことの一つに菩薩行があります。この菩薩行のことを初期仏教で説かれているのが『楞伽経』なのです。

『楞伽経』には四巻本、十巻本、七巻本の三種があり、初期の禅宗ではこのうち四巻本楞伽経を所依の経典とし、達摩大師は慧可にこの四巻本を以てその心要であると伝え、日本の禅門でも最も読まれたのがこの四巻本なのです。

そして、この『楞伽経』の主題は「心意識を離れた自覚聖智を証得せよ」ということなのです。
西暦435年、インドの三蔵法師グナバドラがランカー島から『楞伽経』の梵語原本を中国南朝宋に齎(もたら)し、その後443年に漢訳されたものの写本が『大正新脩大蔵経』第16巻に収められています。しかし、その梵語原本は、南北朝時代(1336-1392)にすでに失せられてしまっていたことを知らなかった虎関師錬禅師(1278~1346)は、『仏語心論』の中で、直接梵文に接することができないことを嘆いておられます。
この漢訳を基にして、失われてしまっていた梵文テキストの復元を試みてきた、花園大学名誉教授の常盤義伸先生を中心とする禅文化研究所楞伽経研究会では、復元梵文の確認とその日本語訳の作成、また漢文の訓読を進めてこられました。そのうちの梵文復元と日本語訳を定稿した成果が本書なのです。

禅の心要とされたこの『楞伽経』。日本語訳でその内容を知ることもでき、また研究者にはその復元梵文も、貴重な研究資料となることでしょう。

発売は平成30年7月30日。お求めはこちらからどうぞ