2018年秋企画展「100年遠諱記念 明治の禅僧 釈宗演」開催を記念し、去る2018年10月16日(火)午後2時より、花園大学教堂にて横田南嶺老師(円覚寺派管長・花園大学総長)による講演会を実施いたしました。
講演タイトルは「釈宗演老師を思う」。宗演老師の生い立ちから遷化まで61年間にわたる激動のご生涯を、日記や書翰などの資料を用いつつお話いただく90分の講演。横田老師は「私も宗演老師に直接お目にかかった世代ではありません」とおっしゃるのですが、宗演老師と老師をとりまく人々のお気持ちを代弁されるかの解説に、ご参集くださった130名の皆さまも聴き入っておられました。
なかでも、セイロン出立の際、師である今北洪川老師が『羅云忍辱経』を写して宗演老師に贈られたというエピソードには胸が詰まりました。『羅云忍辱経』とは、シャカが実子であるラゴラに忍辱(忍耐)の心を伝えるべく説いたものだそうです。異国の地へ愛弟子を送り出す師の深い愛情が伝わってきます(実物は現在展示中ですので是非!)。
この他さまざまな逸話をご紹介いただきましたが“とっておきだな”と感じたのは、老師に最後までお仕えになった釈大眉老師が「先師にこの言葉あり」と選ばれた、宗演老師の口癖「もったいない」です。とかく革新的な部分がクローズアップされがちな宗演老師ですが、これについて横田老師は「枯淡なる禅僧の姿に、釈宗演老師の真骨頂を見る思いです」としめくくられ、盛大な拍手をもって講演会は終了となりました。
なお、老師のご講演をYoutubeにアップしてありますので、ご覧下さい。
最後に、今回の展覧会について花園大学歴史博物館研究員の志水一行先生に見どころを伺ったところ、「故郷若狭に遺る遺墨を、多数展観している点が本展覧会の大きな特徴。若狭方面からもたくさんの方にご来館いただいています」とのこと。また「釈宗演老師が学長を務められた、臨済宗大学(現花園大学)にまつわる貴重な資料の数々もぜひご覧いただければと思います」。
この機会に皆さまどうぞお運びくださいませ。
※次回の記念講演会は2018年11月8日(木)午後1:00~2:30、「宗演老師と海外巡錫」と題して西村 惠信先生(花園大学名誉教授・禅文化研究所前所長)にご講演いただきます。