2018年秋企画展「100年遠諱記念 明治の禅僧 釈宗演」開催を記念し、昨日2018年11月8日(木)午後1時より、花園大学教堂にて西村惠信先生(花園大学名誉教授・禅文化研究所前所長)による講演会「宗演老師と海外巡錫」を開催いたしました。
ご自身と釈宗演老師を郢ォぐ不思議な縁から始まり、ご自身も若くして1年間渡米した時の話を交えながら話はすすみ、釈宗演老師が居られた明治期には、廃仏毀釈や、キリスト教の波が押し寄せていた日本において、若くして見性したものの、仏教の退廃に嫌気がさして還俗まで考えていたといわれます。しかし、慶應大学で薫陶を受けた福沢諭吉のすすめもありセイロンに留学してパーリー語と上座仏教を学び、帰国してから32歳にして円覚寺派の管長となられた宗演老師は、万国宗教大会に日本の仏教代表として演説されました。しかし、日本の各派からは万国宗教会議などはキリスト教が喧伝されるに過ぎないから行く必要なしとされ、宗演老師をはじめとする日本の仏教各派の僧侶たちは自費で渡ったとのこと。
今は絶版品切れとなってしまっていますが井上禅定著『釈宗演伝 -禅とZENを伝えた明治の高僧-』(禅文化研究所刊)を参考にしながら90分間、しっかりとお話をいただきました。
なお、季刊『禅文化』250号には、今回のご講演と同じ題名のご寄稿が掲載されています。
また他に釈宗演老師の行履を記したものには、『明治の禅匠』や『近世若州僧宝伝』がございます。いずれも禅文化研究所で発売しておりますので、この機会に如何でしょうか。