第14回臨黄教化研究会「SNS社会におけるコミュニケーションを考える」

 

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去る2019年2月7~8日と、花園大学教堂ならびに花園会館をお借りして、臨済宗黄檗宗連合各派合議所主催の「第14回 臨黄教化研究会」を開催しました。

今回のテーマは「SNS社会におけるコミュニケーションを考える」ということで、50名強の僧侶が全国各地から参加されました。

今回は基調講演としてお二方にご登壇いただきました。

一人目は「社会現象としてのソーシャルメディアを知りつくす」と題して、藤代裕之氏(法政大学社会学部メディア社会学科准教授)に、お二人目は「SNSを通して悩める衆生とどう向き合うか」と題して、井上広法師(hasunoha共同代表・浄土宗光琳寺副住職)にお話し頂きました。

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藤代氏のお話は、専門の研究分野であることもあり、SNSの流れに沿ってその特徴などもお話し頂き、私達のような印刷媒体から情報を得て、今はスマホなどを使ってSNSを使っている世代と、現代の若者のように小さいときからスマホやタブレットを使ってSNSに触れてきた人間とは、SNSに流れてくる情報の見方が違うと。
つまり、印刷媒体を知っている我々は情報は探しに行くものだと思っているが、今の若者達は、溢れるほど流れてくる情報をどんどんスルーしていて、なにかふと目にとまったものを見るという感じだそうで、その若い人たちに宗教者はどうやって情報を伝達していくことができるかということを考えさせられる機会となりました。
また、SNSで人と人は常時繋がっているようでありながら、すでにそれはUnhappyなのではないか、繋がっているのに孤独であると考えてしまう人たちも増えています。それをどうやって本当の繋がりにしていけるか、もっというと、これからSNSとどう距離を取っていくかを、誘導していくことが我々僧侶においての課題となっているように受け止めました。

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また井上広法師は、テレビ番組の「ぶっちゃけ寺」などでご覧になった方もおおいかと思いますが、hasunohaというサイトを立ち上げられています。このサイトは一般の人が投げかけた多種多様の質問を、お坊さん(宗派は問わない)が回答していくというサイトで、質問に対する回答率はほぼ100%で、すでに5万件以上の回答がされているという驚くべきサイトです。そのサイトの中での実例を挙げるなどして、悩める衆生をネット上で済度していこうとされているわけで、禅門の僧侶の本願である「下化衆生」そのものであろうかと思います。ただ、現状では臨済宗の僧侶は10人しか回答者に登録していないということで、色々な事情は想定されますが、そのあたりのこともこれから考えていかねばなりません。

このような講座の後、分科会では5つの班にわかれ、それぞれのテーマに沿って会議がなされました。

1班「寺院の活動にSNSをどう活用していくかⅠ」
2班「寺院の活動にSNSをどう活用していくかⅡ」
3班「寺院のホームページやブログの活用術」
4班「インターネットで起きる問題に仏教はどう対応するか」
5班「瞬時性とその問題点(著作権と肖像権を知っておく)」

二日目の最後には、これらの検討結果をそれぞれの班の代表者が発表し、閉会となりました。

SNSを若者たちと関係をつなぐ有効なツールとして、より敷居の低い繋がりを構築できるように、わかりやすいコンテンツを配信するなどしていき、そして、結果的にはネット上ではなく現実の人と人との繋がりにしていくということが、我々のするべきことなのではないかと思いました。

参加者だけではなく、宗門の皆さんもこういったことを考えていく機会をもつべきかと思いました。

※後日、臨済宗黄檗宗僧侶の方々には臨黄ネットの寺院用サイトにて講演の動画も公開いたしますので、どうぞご覧下さい。