もう一ヶ月前の事になるが・・・7月8日、丹波篠山の山ふところ、とある山寺にて一日遅れのたなばたコンサートが開催された。
ふだん生の音楽演奏に触れる機会の少ない地域の人々に、本格的な邦楽の音色を聞いてもらいたいと、住職が企画したミニ演奏会だ。寺の住職は禅文化研究所の所員でもある。
箏の演奏は、世界中でさまざまな音楽とのセッションを試みておられる福原左和子先生。尺八は東福寺退耕庵住職の五十部泰至師。
六時半からの開演だが、お二人とも早くから来られてリハーサルに励まれる。リハーサルといえども少しの妥協も許さない厳しさがひしひしと伝わってくる。
開演は6時30分。外はまだ明るいが、地域の人々が三々五々集まってくる。本堂はほぼ人で埋まり、何人来るか気をもんでいた住職もホッと一息。
演目はメジャー曲から現代的なものまでバラエティーに富んでいた。「今の季節に『春の海』とは少し変ですが」との五十部氏のトークの後、誰もが知っている「春の海」から演奏は始まった。
箏のさやかな音色と尺八の幽玄な響きが夕闇せまる丹波の山里に広がってゆく。箏と尺八の絶妙なコラボレーション。最後のアンコールは箏でしんみりと「さくら」「たなばた」。
おじいちゃんおばあちゃん、ふだん元気な子供たちも静かに演奏に聞き入っていた。「すばらしい演奏だった。初めての経験。また聞きたい」と好評のうちにコンサートはお開きとなった。