来年2022年は宗祖隠元禅師350年大遠諱。
隠元禅師といえば、江戸前期に中国から渡来し、当時の中国から多くの文物を日本にもたらした僧として知られています。
先日、隠元禅師によって開創された萬福寺の見学に行かせていただきました。また、主事の方に案内・解説もしていただき、より深く萬福寺を知る機会となりました。
雨が降る中の見学でしたが、萬福寺独特の魅力を存分に感じることができました。
とても古いお寺なのに目新しさを感じるのは、他に類を見ない建築様式だからでしょう。異国情緒あふれるユーモラスな境内。禅師の影響力の大きさを実感できます。
萬福寺といえば、魚の形をしたこの開梆が有名ですね。
大きな木製の開梆で、現在も時刻を知らせる際に毎日使われているそうです。(3代目のお魚とのことでした。)
口にくわえている玉は煩悩で、その煩悩を吐き出しやすいようにお腹を打ち、自らも心を戒めます。また、「魚のように寝る間を惜しんで、修行に励みなさい(魚は目を開けて眠ることから)」という意味もあるそうです。
とても独創的な発想で作られた開梆だったのですね。
それにしても不眠不休の心得とは…雲水さんは毎日過酷な修行をされているのだなと思いました。
萬福寺の柱は、石が支えています。
ここにも中国風の特徴があり情趣を感じました。
昔の建築様式ではよく見られるようですが、この柱、礎石と柱はくっついていないそうです。
礎石の上にただ柱が乗っているだけなのに、萬福寺はこれまで一度も地震による被害もなく残存していることに驚きました。地震の際はこの石が揺れを吸収しているのだろうとのことですが、350年以上も前の技術に脱帽せざるを得ませんでした。
四角い模様のこの床は、龍のうろこを表しているそうです。
また、萬福寺では大遠諱事業の一環として、法堂などの屋根を創建当時の姿に復元されました。
瓦屋根からこけら葺きへ。とても上品な風合いで、当時の趣を感じることができます。
工事が終わったこのタイミングで伺えて万感の思いでした。
ほかにも布袋様や、「卍くずし」と呼ばれるデザインの勾欄(こうらん)、桃の紋様が刻まれた「桃戸」など、ここに書き切れないほど見どころがたくさんありました。
大遠諱を迎えるこの機会に、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたい寺院です。